INFORMATION SECURITY

情報セキュリティ

現実に即した実践的なセキュリティを探求

インターネットの大衆化やSNSの普及に合わせ、情報セキュリティの重要性は広く認識されてきた。会津大学はICTに特化した大学として、この分野に早くから着目。研究者を集め実践的な対応策を探求してきた。その成果は福島県警や民間企業などにフィードバックされ、情報セキュリティの人材育成にも貢献。「ルールのない総合格闘技」とも言える情報セキュリティの分野で、現実に即した実践的かつ総合的な研究を続けている。

セキュリティ全般を専門的にフォロー

情報セキュリティはハードウェア、ソフトウェア、データ、コミュニケーション等、ITのあらゆる側面に関係している。セキュリティの要素は大きく分けて暗号、システムおよびネットワークの防御に大別される。また、最近ではオンラインでのプライバシー管理も社会的な要請として現れた。

IT分野の人材不足がいわれるなか、セキュリティ分野は研究者も企業のエンジニアも、ともに不足している状態である。そんななか、会津大学では暗号分野の専門家や、システムセキュリティの専門家などが集い、システムセキュリティ全般を専門的にフォロー。チームで様々な問題に幅広く対応していくことで、一人一人のフィールドもさらなる広がりをみせている。

地域や企業と連携した実践的人材育成

会津大学では情報セキュリティに関する実践的な研究を重視している。サイバー攻撃の防御やサイバー犯罪の防止などに役立つ技術の研究はもちろん、SNS等で発信される情報のリスク分析、個人のオンラインプライバシーを保護するためのシステム構築といった、一般の人々がインターネットを利用する上での身近な問題にも取り組んでいる。

また、福島県警察本部と連携協定を結び「サイバーセキュリティリーダー養成講座」を県内各地で開催してきた。これはサイバー攻撃やサイバー犯罪から県民を守るための講座で、企業内でセキュリティ対策を主導する人材を育成することを目的としている。

さらに(株)FSKと連携して「サイバー攻撃対策演習講座」を毎年開催している。こちらは一般公募の有償講座で、専門的人材を育成するための「攻撃手法」を中心に学ぶ実践型の研修であり、防衛、警察、大学・高専、IT企業等から毎回30名程度の参加。高い評価を受けている。

「ルールの無い総合格闘技」の戦い方

AIなどの技術の進化で、ソフトウェアを作ること自体は人手が掛からなくなってきた。生産性が高まってきたと言えるだろう。一方でセキュリティを担保する側は簡単にはいかない。セキュリティを勉強した、あるいは何か技術を身につけたというだけでは解決できないものがここにはある。セキュリティは相手がある仕事だ。攻撃者や犯罪者は賢いうえに手段を選ばない。これはいわば「ルールのない総合格闘技」と言えるだろう。相手はこちらのルールを無視して攻撃を仕掛かけてくる。対して、守るこちら側は会社のルールや日本の法律、職業としての制約もある。そんな状況下で戦うには、さまざまな道を究め、深い洞察力を持つ達人になる必要があるだろう。そのような達人は分野を問わず、将来的にも貴重な人材となるに違いない。

「情報セキュリティ」分野の研究例