平成26年8月11日(月)より5日間にわたり、函館市の新しい市電サービスを提供する短期集中合宿「ビジネスサービスデザイン実践」が行われ、会津大、はこだて未来大、同志社大、室蘭工業大の大学院生が参加しました(※1)。これは、他大学の学生との交流を図りながら、PBL(※2)を通して実社会で必要とされるチームでの課題解決能力を養うことを目的としています。

 学生らは、実際に市電に乗って街に繰り出し、市電職員や観光客へインタビューしながら、利用者の視点に立って新サービス提案のためにアイデアを出し合いました。最終的には市電の新サービスをジオラマ模型で表現し、チームごとに発表を行いました。

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市内を走行する路面電車内で新サービスを考案(左)、市電内を見学し説明を受ける学生たち(右)

 会津大の矢内克輝(修士1年)さんは、「フィールドワークで実際に目で見たものを形にして人に伝えることの重要性を実感し、他大学の学生とチームで議論しながらアイデアをジオラマ制作によって表現することはとても良い経験となり今後の開発作業に活かしたい」と話していました。最終日にはファシリテーションスキル(※3)の講義が行われ、円滑でかつ活発な会議進行のスキルを学び、リーダーとして公平な立場で組織をまとめるファシリテーター演習を行いました。

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チームごとの発表会(左)、新サービスを模型で表現(右)

 8月18日からは各大学に戻り、遠隔による「ビジネスアプリケーション開発基礎演習」にて、開発環境の構築から開発プロセスを学び、各校合同チームによるミニPBLでアプリ開発に取り組みました。開発期間1週間という短期間で、学生たちは遠隔ツールを駆使し、他大学のチームメンバーとコミュニケーションを図りながら開発作業を進めました。

 新島襄と八重の縁の地でもある函館と会津を結んで(※4)、観光客がクイズ形式で旅先の情報が得られるアプリ「あいはこ」や、使わなくなった教科書を逆オークション形式で売買するアプリ「GIVE ME OSAGARI」など、発想豊かで実用的なアプリを完成させました。             

 10月からは「分散PBL」としてPBL型システム開発演習を行います。システム開発を、イテレーション型開発やアジャイル開発などの手法を用いて、遠隔PBL形式で実施予定です。

 会津大学では、このような様々な実践的なソフトウェア開発の機会とチームで取り組む環境を提供し、問題発見と課題解決能力を身に着けた創造性豊かな人材の育成を目指しています。大学院生であればこれらの授業を履修、単位修得可能で、来年度も実施予定です。

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会津-函館クイズアプリ「あいはこ」(左)、逆オークションアプリ「GIVE ME OSAGARI」(右)

※1 函館市の新しい市電サービスを提供する短期集中合宿「ビジネスサービスデザイン実践」
関連リンク:分野・地域をを越えた実践的情報教育協働ネットワーク
関連リンク:はこだて未来大: 実践型人材育成事業 (enPiT FUN) Facebook
※2 PBL
PBL(Project Based Learning)型授業とは、問題や事例を提示し、その解決策に向けてチーム学習を行う教育法です。
※3 ファシリテーションスキル
会議、ミーティング等の場で、発言や参加を促したり、話の流れを整理したり、参加者の相互理解をサポートすることで、組織や参加者の活性化、協働を促進さ せるスキルのこと。また公平な立場にたってグループ内でファシリテーションを行う者のことを、ファシリテーターと呼びます。
※4 新島襄と八重の縁の地でもある函館と会津
平成25年度大河ドラマ『八重の桜』の主人公でもある新島八重(1845-1932)は、会津藩の砲術師範の娘として現在の会津若松市にて誕生しました。その夫である新島襄(1843-1890)は、21歳の時に新しい知識を深めるため函館からアメリカに渡航しています。
関連リンク:大河ドラマ『八重の桜』へのVFX協力について