平成26年度入学式が開催されました

 会津大学は4月2日(水)、平成26年度入学式を行いました。学部入学生247名、博士前期課程51名、博士後期課程8名、合計306名が入学しました。式では全員の名前が読み上げられ、岡学長が入学許可を宣言しました。

 学長は入学生を歓迎し、「IT技術は、いまや自動車産業を含む産業や科学技術の隅々まで浸透している基幹技術であり、本学はそのIT技術を専門とする大学です。本学でIT技術を学んだ皆さんの活躍が、福島の復興につながります」と挨拶しました。入学生を代表して相原智晃さん (コンピュータ理工学部)、鈴木恵利さん (博士前期課程)が宣誓を行いました。

 入学式の後には入学生全員での記念撮影が行われ、記念撮影のあとは在校生がサークル活動を紹介するチラシを手渡し、新入生の勧誘を行いました。うららかな陽射しの中、キャンパスはフレッシュな活気に満ちていました。

 岡学長の式辞(全文)はこちらをご覧下さい。


先輩方に迎えられながら会場へ向かう新入生(左)、式にのぞむ新入生(右)


学部新入生代表(左)、博士前期課程新入生代表(右)による宣誓


新入生記念撮影(左)、サークル勧誘チラシを受け取る新入生(右)

式辞

 皆さん、ここ会津の地も、寒さが緩み、日々暖かい季節が来ました。そして、新緑の力強い息吹を目前にした会津の美しい自然には、こころはずむものがあります。本日、そのような会津の地に参集された 学部入学生247名、博士前期課程51名、博士後期課程8名、合計306名の皆さん、会津大学へのご入学おめでとうございます。ご臨席の佐藤福島県知事、平出福島県議会議長、室井会津若松市長、他ご来賓の皆様、及び副学長、他教職員とともに、皆さんのご入学をお祝いしたいと思います。
 また、これまで皆さんを支えてこられたご家族や関係者のみなさまに心よりお祝い申し上げます。
 皆さんは、これからの会津大学での生活に、大きな希望と、一抹の不安を抱いていることと思います。その皆さんに関わりのある話を3つしたいと思います。

 まず、経済の話をします。日本は数年前から、貿易収支は赤字ですが、所得収支は黒字となっています。昨年は、全体として約6兆円の黒字となっています。これは、日本はものづくりではなく、不労所得で主に生活をしているということです。私は、昔学校で、日本は資源がないので資源を輸入し、それを用いて高い付加価値の商品を作り、輸出して食べていかなければならないと習いました。しかし、いまの日本は、そのような貿易ではなく、利子などの不労所得に頼り、生活するようになりました。 これで、よいのでしょうか。
 それでは、日本はこれからどうするのか、という話になります。この背景には、低い賃金の国との競争があります。テレビや洗濯機などの家電製品では、日本は世界を席巻していた時期がありました。しかし、いま、それらの製品の多くは低い賃金の国でつくられる日用品となりました。日本は、これらの日用品ではなく、高い付加価値のものをいち早く作る国になる必要があります。そのとき、これらの製品の核となるのが、デザインの力を含むソフトウエアの力、ITの力です。

 また、IT技術は、いまや自動車産業を含む全産業、及び科学技術の隅々まで浸透している基幹技術です。IT産業は調査によるとその生産性があらゆる産業の中でもっとも高い分野であることが示されています。言い換えますと、これから日本が生きていくにはIT技術を振興することが一番求められているということです。会津大学はそのIT技術を専門とする大学です。皆さんの活躍が期待されているゆえんです。このことは、また、福島の震災からの復興ともつながることでもあります。

 次に皆さんは、ITに関する技術の習得と同時に、英語も学んでください。皆さんは、これから、オリジナルの文献にアクセスする必要に、頻繁にであいます。その8割以上のオリジナルの情報は、英語を通じて得られます。また、英語の習得と関連しますが、会津大学では教員のほぼ40%が、外国出身の先生であります。この40%という数字は、会津大学の大きな特徴で、日本の理系大学では最も大きい数字となっています。皆さんは、それだけ外国籍の先生と交流する機会が多くあり、国際性を身につける機会にも恵まれているのです。

 最後に、大学は、皆さんにとって、専門技術を学ぶのと同じくらい、あるいはそれ以上に、知性と教養を身につける機会も与えてくれます。大学を卒業して単に有能な会社員になるだけでなく、自立自存し、短期的、長期的に物事を判断するためには知性と教養が必要となります。それは本を読むこと、友人や先生と話すこと、大学外の人々と交流することで培われるものです。
専門技術や知性、教養の獲得のために、未熟ながらも前のめりの精神でぶつかっていけるのが、若者の特権でもあります。

 皆さんのこれからの健闘を期待し、式辞とさせていただきます。

平成26年4月2日 会津大学学長 岡 嶐一