第十九番札所第二十番札所

旧岩屋観音

旧岩屋観音堂跡
《旧岩屋観音堂跡》

岩屋観音の起源は,約1200年前の大同二年(807)にさかのぼる.

現在,岩屋観音堂は,御山の照谷寺内にある.しかし,以前は,岩屋観音堂は,岩屋山にあった.上の写真はその跡である.

つまり,以前の巡礼者は,この観音堂跡まで,山を登ったのであった.

移転の時期については,照谷寺内の解説によれば,本尊(観音様)が天保年間(1830-1843)に二度の盗難にあったことから,照谷寺内に奉安とある.しかし観音堂は,平成四年(1992)に岩屋山から照谷寺内へ移転建立したとある(岩屋山にある観音堂跡碑は平成二年に建てられたようだが).つまり本尊と建物の観音堂の移動の時期に 150 年ほどの開きがあったのだろう.
照谷寺内の解説

文献[7](昭和55年発行)においても,「岩屋観音へは急な坂道があり,近年まで巡礼はいずれもこの難路を登ったのである.しかし御堂の管理の関係から別当の照谷寺へご本尊を移遷し,一年に一度,四月十五日のみ旧観音堂へご本尊を奉安するという.したがって地元の巡礼以外はこの難所を打たず,直接別当の照谷寺へ札を納めている」とある.

御詠歌

はるばると のぼりておがむ いわやさん
         いつもたえせぬ まつかぜのおと

旧観音堂への巡礼道

道路地図等を見ると,火葬場の脇から入るような地図が書かれているが,ここでは,一つ北の小道(地図には書かれていない)から入ることにする.

千石通りの北御山の標識のある交差点から出発する.左の写真は北御山の標識のある交差点,右は,その交差点から山を望むところ.
北御山の標識のある交差点交差点から山を望む


山の方に進み,小道に入る.左の写真の右にある小道を進む.右は,小道から千石通り方向を見ているところ.
小道に入る小道からに入る


小道は民家を過ぎると,一面,柿畑となる.しばらく道なり進むと岩屋観音の入口を示す石灯篭がある.(注:火葬場の脇の道から入るとこの石灯篭を通らない)
石灯篭
左の灯篭には「岩屋山観音」,右には「二十番」,「享保十四年」(1729)とある.ただ,保が「合」の下に「木」だと思う.
岩屋山観音二十番享保十四年


さらに進むと山道に入る.枝道があるが,道なりに進む.
以下の写真は平成十六年十一月二十七日に撮影したものだが,晩秋でさえ,シダが繁っていて土が見えないような道もあるので注意を要する.
シダ道シダ道シダ道シダ道

しばらく道なりに進み続けると松林になる.
ここを左へ行くと観音堂へ
以下は観音堂跡の下から撮ったもの.階段と観音堂の廃材らしいものが見える.この階段を登れば,観音堂跡だ.
観音堂跡直前

観音堂跡の碑の裏.平成二年とあるようだ.
観音堂跡の碑の裏

岩屋観音跡を少し上ると街が見下ろせる.眺めが非常によい.御詠歌のように,風が少し強く,また,岩屋という名前のように,ごつごつした岩がたくさんある.
眺め眺め

岩屋観音跡に来ると御詠歌を実感でき,とても爽快だ.


“千石通りの北御山の標識のある交差点”から岩屋観音跡まで徒歩20分強.ただし,下りの方が上りよりも時間を要する.

巡礼記

平成十六年(第七日)

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