原子スケール有限要素法による破壊力学

概要

〇有限要素解析の原子構造力学での疑問点
有限要素法(FEM)は既に様々な構造の破壊条件の解析に応用され、大きな成功を収めている。FEMは連続体に対して適用される巨視的なモデル手法である一方、ナノスケールの半導体や金属材料では、 原子が離散的であるため、適用できない。原子の挙動を計算し応力などの構造力学パラメータを求める方法として、現在は分子動力学法(MD)が主流であるが、系の解を求める計算には時間がかかり効率的ではない。

〇原子構造のための有限要素解析
そこで本研究では、原子スケール有限要素法(Atomic-FEM)と、Moving-Least-SquaresやKrigingなどの補間法を組み合わせて、原子スケールの有限要素解析を破壊力学に適用する。
現在までにGaAsなどの半導体複層構造に対して原子スケールで歪分布を求めると、厚さが数十ナノメートル以下になると急激に連続体と異なる結果が出ることがわかっている。