2009年03月31日

会津大学 国際化のレッスン ラーンド(教訓集)とは

会津大学は開学以来、多数の外国人教員の採用や外国人留学生の受入れを行っており、 英語・日本語を学内公用語とするとともに翻訳通訳員、外国人教員等相談員、事務連絡室 の支援体制を確保するなど、教育研究や学内の事務連携に対して国際的な環境を整えてきた。

そこで、今後、日本の他大学における国際化推進の参考とするため、大学の国際化を整備、 遂行するなかでのレッスン ラーンド (教訓集)をまとめた。

なお、会津大学固有の事情、組織、プロセスに関することは記述せず、汎用性のあるものとする。

レッスン ラーンド(教訓集)の記述について

当サイトは、国際化に必要な相談のプロセスと、それに伴うレッスン ラーンド(教訓集) から構成されている。

のマークがレッスン ラーンド(教訓集)の該当部分です。

レッスン ラーンド(教訓集)サイトの使用条件

当ガイドは会津大学にて実施してきた各種の経験を基に記述したものであり、実際に 実施するには、各関係省庁の公式手順に従ってください。

個別の公式手続きについて一部外部リンクを使用しており、あくまで現時点のものであり、 実行にあたっては公式手順を参照してください。

現在有効なリンクが予告なく移動により無効になる場合があります。

相談窓口サービスの提供

外国人教員・研究員・学生に対して以下の相談窓口を提供する。

事務連絡室(ALO)

国際業務を遂行するに当たり、外国人が相談に来る窓口として、本学では 事務連絡室(通称ALO 【Administrative Liaison Office】)を設けており、 英語ができる2名の嘱託員と一人の外国人教員等相談員が窓口業務を行っている。 ALO嘱託員は、教員の服務の補助に関する事や研究支援の必要な部署への 取次ぎ業務を行っている。 また、外国人教員等相談員が外国人教員・研究員の 生活支援や業務サービス等を遂行するために常駐している。

外国人教員等相談員

外国人教員等相談員(3名)が、外国人教員・研究員の受け入れ・生活面の 指導助言、 受け入れの補助、外国人学生の相談・支援、教員公舎管理業務の 補助に関する業務を行っている。

海外からの教員・研究者の受け入れ支援

    • 入国前に必要な手続き・準備等の流れ

    以下、海外からの教員・研究者の受け入れ支援のプロセスとそれに関する レッスン ラーンドを記述する。

    在留資格認定証明書交付申請(I)から 在留資格認定証明書の送付(III)まで

      1. 大学教員採用にかかわる関係書類の提出を求めると同時に、入国に 必要な書類も揃える。

      1. 通常、就労、または長期滞在の場合は、査証(ビザ)取得のために 在留資格認定証明書が必要である。本学では、外国人教員等相談員が 在留資格認定証明書の交付申請を法務省地方入国管理局にて行い、 取得後、各外国人教員に送付している。

      1. この在留資格認定証明書は大学が代理申請するが、交付までに 1ヶ月から3ヶ月ほど要するので、余裕をもって申請する必要がある。


    査証(ビザ)申請(IV)から査証(ビザ)(V)交付

      1. 在留資格認定証明書が送付された後、各外国人教員自身に 自国の日本大使館、または総領事館で査証申請をしてもらう。

      1. 教員に同伴で来日する家族には、本学が家族滞在の在留資格認定証明書の 交付申請を支援する。しかし、家族が後で来日する場合には、各採用教員に 自己申請をお願いしている。


        • 赴任時に必要な諸手続き・支援


        印鑑作成

          1. 日本では殆どの公式文書には署名ではなく印鑑の捺印が必要である。外国人教員が 赴任後、数日ほどで印鑑を作成する事もできるが、採用事務手続きに必ず印鑑の捺印が 必要なため、予め本学の受け入れ教員や各国の言語が話せる教員に発音してもらい 日本語カタカナ表記の印鑑を作成する。

          1. 外国人教員の中で赴任前に印鑑を作成している場合、その印鑑を持参してもらう。


        外国人登録

        日本に90日以上滞在する外国人に対して居住地の市区町村に外国人登録を する事が義務付けされている。登録の手続きの際に、パスポートと2枚の顔写真が 必要になる。また、赴任後に様々な公的手続きで顔写真 (タテ4.5cm X ヨコ3.5cm、6ヶ月以内に撮影した無帽、正面、無背景のもの)が必要になるので、数枚予備の 顔写真を作成、または自国より持参するように促している。 

        法務省入国管理局ウェブサイトへ

        日本の銀行口座開設

          1. 銀行の口座開設にあたり一部の銀行を除き署名での登録は認められて いないため印鑑が必要になる。(印鑑については印鑑作成を参照)

          1. 最近では印鑑の英語アルファベット表記も認められている場合が あるが、署名でのやり取りは一部の銀行を除き認められていない。

          1. また、銀行口座の開設には本人確認書類として、日本での居住を 証明する外国人登録証明書、または登録原票記載事項証明書が必要になる。

        1. 銀行のキャッシュ・カードをATMで使用する際に、パスワードを 3回以上間違えると窓口にて再申請が必要になる。また、手数料を取られる場合も ある場合があるため、パスワードを2回間違えた段階で銀行の窓口に問い合わせるのをお勧めする。 (各銀行により規定が異なる。)

        教員公舎提供、その他の生活支援

        本学では大学教員には公舎を提供しており、外国人教員に 対しては電気、ガス、水道、電話等の開始手続きの支援を行っている。 海外から赴任する教員については家具つきの部屋も用意している。

        新任教員オリエンテーション

          1. 通常、新任教員のうち、日本人教員の場合は、担当課の職員が 新任教員オリエンテーションを行っている。その際、学内コンピュータ・ ユーザアカウント、学部・大学院に関する事、大学生活に関する説明を行う。

          1. 外国人教員については、外国人教員等相談員が様々な事務手続の 確認事項を含め、随時、明確に具体例を添えて説明をしている。

          1. オリエンテーションにて医療や保険に関すること、 緊急連絡先など、もしものことが発生した場合の流れをきちんと説明する。


        大学コンピュータ・アカウント作成

          本学では赴任した際に、すぐに大学コンピュータを使用できるように ログインネームを赴任前に決定してもらう。その取次ぎを外国人教員等相談員が行う。

                • 教員・教員家族への生活相談・支援


                在留期間の更新

                在留期間は所定の手続きにより更新することができる。 在留期間の期限が切れる前日までに最寄りの入国管理局で手続きを行う。 (期限が切れる2ヶ月前から更新申請ができる。)

                最近では勤務年数により日本での永住許可を取得する教員・ 研究員が増えている傾向がある

                再入国許可申請

                出張・研究発表で海外へ行く際は、必ず出発前に最寄りの入国 管理局で再入国許可申請証を入手してから出国してもらう。この 再入国許可申請は教員が各自で行う。

                外務省ウェブサイトへ

                各種公的書類申請の支援

                日本では様々な公的書類の申請をしなければならない。 次の公的書類申請に対して外国人教員等相談員が随時対応、アドバイスを行う。 (印鑑証明書申請、日本の運転免許への切り替え、車の購入、車の任意保険加入、 クレジット・カード申込み)

                法律・緊急に係ることの対応

                外国人教員の緊急事態には、外国人教員等相談員が通訳など随時対応する。

                納税について

                外国人教員が日本で就労するにあたり各種税金を納税する義務がある。 各種税金の質問がある際は随時、外国人教員等相談員が応対している。 特に住民税については国により制度が違うために、税の仕組みについて 理解してもらう必要がある。

                外国人教員子弟の教育への依頼

                  1. 外国人教員が子弟を同伴する場合、地元の幼稚園、 公立・私立小学校、中学校、高等学校の入学・編入について 支援する。

                  1. 日本の学校の規則、制服などについて説明する。

                  1. アレルギー体質を持つ子弟については、学校と慎重に 打ち合わせをしておく。例えば日本の小学校では給食で牛乳が出る。 ある外国人教員の子弟が牛乳アレルギーであったため、代わりに ジュースを持ち込んでよいか小学校と協議した。基本的には 持ち込みは禁止しているが、毎回同じ種類のジュースを 持ち込む事により了承を得た。

                  1. 各学校側に習慣・文化の配慮を求めている。例えば 宗教の違い等があげられ、 イスラム教では戒律により、 豚肉を食しない。そのため学校給食ではなく弁当を持参している。 また、それに伴い周りの生徒の異文化理解が必要となる。

                  1. 各学校での行事、連絡等の保護者への提出物に対して、 外国人教員等相談員が補足説明し、必要ならば各学校との 連絡支援をする。

                なお、子弟の教育を考えることから、最近は単身赴任で 来学する教員が増えている。反面、家族と一緒に10年以上 滞在する教員も増えてきており、日本での永住許可を取得して いるケースもある。

                日本語教育の充実

                  1. 外国人教員への日本語教育として、開学時より2年間、 外部より講師招聘し開講していた。現在では、国際戦略本部が 年に2回3ヶ月間の日本語教室を開催したり、地元の国際交流協会の ボランティアで行われている日本語クラスを紹介したりして地域と 一体となった日本語教育を充実させている。

                  1. 外国人教員子弟への日本語教育として、開学時より2年間、 外国人教員等指導員が指導に従事していた。また、地元の小学校で の日本語授業が4月から10月の時期に行われるなど、本学子弟の 受け入れの積み重ねによって地域の教育機関にも国際化が浸透している。


                健康保険・医療に関すること

                法律・緊急に係ること同様、病院などで通訳や支援が必要な場合、 外国人教員等相談員が同行する。また健康保険の詳細については随時、 外国人教員に説明をする。(病気・怪我・出産等)

                ごみの分別・収集について

                1. 国によってごみの分別・収集の仕方が異なるため、 ごみの分別の仕方についてきちんと説明する必要がある。
                2. また行政だよりを通して、ごみの分別などを外国人教員 へ促している。

                地元地域との交流・情報収集

                地元地域の紹介、イベントなどが紹介されている行政だより、 国際交流センターだよりが毎月または週一回、多言語で発行され大学公舎へ 届けられ、地域を上げて国際化に取り組んでいる。 (日本語・英語・中国語・韓国語で対応)

                    • 帰国前に必要な手続き・準備等


                    各種清算手続き

                    外国人教員等相談員が、電気、ガス、水道、電話等の 退去手続きの支援を行っている。その際に、残りの支払いなどに ついて確認する。

                    公舎退去について

                    文化的な違いから、公舎からの退去に際しては、掃除・ ゴミの撤去などがされないケースも散見されたため、引越しに 関してすべき事を各教員に徹底している。

                    出国手続き

                    帰国旅程の手配、公的手続きを各教員で行ってもらい、 質問などがある場合は、外国人教員等相談員が随時対応する。