大学案内
平成23年度入学式 学長式辞
本来であれば入学式の式辞は「おめでとう」という言葉から始まりますが、式に先立ち冒頭で黙祷していただきましたように、現在、わが国は、東日本大震災という何百年に1度の大きな災害に見舞われています。この式場にも、太平洋沿岸地域を中心とした被災地からの入学者が居られると思います。この大震災で亡くなられた方々のご冥福をお祈りし、被災された多くの方々に、始めに心からお見舞いを申し上げたいと思います。
本学の在校生も、被災地からの出身者が多く、大変心配をしておりましたが、全員の無事が早い段階で確認ができました。大学施設も建物自体の損傷は軽微で、教育研究を進める上で問題なく、ここに新入の皆さんをお迎えすることができました。
ここに、平成23年度会津大学入学式を、御来賓並びに関係各位の御臨席のもとに挙行できますことは、大きな喜びであります。学部入学生252名、博士前期課程64名、博士後期課程4名、合計320名の皆さんの入学を、全教員、心から歓迎しております。
新入生諸君、また今日まで皆さんを育て、指導し、暖かく見守ってこられた御両親、御家族の皆様、皆さまにとっては一生に一度の晴れがましい場です。こういう時期ではございますが、一言、心からの御祝いを申し上げたいと思います。
新入生の皆さんは、会津大に入り、どのような人生がこれから開けていくか、大きな夢と期待を持って来てくれたと思います。一方、就職氷河期といわれ、もう既に皆さんが卒業する時の就職状況を考え、緊張を覚えている方もいるかと思います。本学は、開学以来の就職内定率は常に高く、就職氷河期の昨年度も、大学院は100%、学部は90.5%で、他大学に比べますと高い実績を残すことが出来ました。
最近、本学は何度となく個性ある質の高い教育を行うということで、メディアに取り上げられました。昨年秋の雑誌プレジデント10月号では、高所得の卒業生が多い理工系大学としてトップになりました。ランキングの基になっているデータの精度はともかく、会津大が社会のニーズにあった内容で教育を行い、その結果として卒業生が世に出て高い処遇を受けていることにつながったと理解しています。
仕事内容について考えて見ますと、以前はソフト開発の仕事というのは厳しい仕事と見なされた残念な時期がありました。その状況が最近は大きく変わりつつあり、海外の顧客のコンピュータシステムを日本からサポートする、IT技術とグローバルなビジネスを直結した活動するなど-会津大が得意とする「ITと英語力」をそのまま生かせる優良な職場が増えていると思われます。卒業生の感想からも「ITのソリューション技術を英語で教育された、その経験そのものが職場で生きている」という返事が多くなっています。
情報産業の市場規模は、全産業の約1割、百兆円と、自動車などの輸送機械や家電などの電気機器を抜いて、今や日本の主要産業の中で最大の産業となっています。更に、その成長率も他の産業を超えて日本の経済を引っ張っている中核の産業です。
今年始めの米国の調査でも、「最高の仕事」というランキングではソフトエンジニアが一番になりました。
一方、企業の人材を選ぶ目は厳しさを増しています。日本企業でも日本人、外国人の区別をつけずに良い人材を求め始めているのは、ご存知の通りだと思います。グローバルな時代に、企業が望む人物像は大きく変わっています。しかし、社会は「内向き志向」と言われており、益々この震災で、心が守りの姿勢になってしまうかもしれません。また、就職活動が忙しく、海外留学の時間が取れないなどの弊害も出ています。従って、このような方向に流されてしまうと、かえって企業が求める人物像と学生諸君の実像が乖離してしまい、日本の就職市場が更に狭まってしまうと思います。
本学は、国際大学です。アジア、ヨーロッパ、アフリカ、オセアニア、北アメリカ、南アメリカの世界六大州の中、南アメリカ以外の全ての世界から教員を迎えています。その先生たちが日々皆さんと共に、教育や研究に励みます。また、この国際的なキャンパスでは、勉学のみではなく、世界の文化も日々学ぶことができます。日本に居ながら留学が出来るという、素晴らしい学習環境が準備されています。
皆さんにとって大切なことは、今日からその良い環境を如何に有効に使うかということです。
この春、修士を卒業した学生から聞いたことを一つ紹介します。就職の面接を受けた時に、修士コースのITスペシャリストで、社会人や留学生と組んでチームを作りソフト開発をした経験を話したところ、面接者が大変関心を持ってその教育内容について多数の質問を受けたと聞きました。このコースは難しいと思われて進む学生は余り多くない状況ですが、その学生にとっては苦労して学んだだけのことはあった、大変役に立ったとの感想を教えてくれました。是非、本学の質の高い学習環境を積極的に活用してください。
ところで、本学は3月に例年の通り卒業式を準備しておりましたが、今回の大震災を受け、残念ながら公式の卒業式の挙行を断念せざるを得ませんでした。卒業予定の学生諸君には大変残念なことだったと思います。ところが、その中から是非自主的な卒業式をやろうという声が沸きあがり、急遽、学生主催の卒業式を行うことになりました。前日では20名ほどの参加と聞いていたのですが、最終的には留学生を含め83名が集まりました。学生が自主的に準備をしてくれて、学部卒業生には岡学部長から、大学院生にはSedukhin副学長から一人ずつ卒業証書が渡されました。メディアの方からは、この自主卒業式の方式も良いのではないかと高く評価されました。私は、この会津大生の自主性を高く評価したいと思います。
本学の高い教育レベル、国際性、それに加えての自主性は、諸君に将来への大きなチャンスを与えると思います。
最後に、司馬遼太郎が学生の訓示に使ったという言葉を紹介します。中国の詩聖曹植の言葉で、「丈夫志四海、萬里猶此隣(良い心を持つ者、四海を志さば、あたかも隣家のようなものだ」という言葉です。
本学の学生は、世界を目指すことができる最高の環境の中で勉学に励んでいます。是非「会津から世界(四海)へ」、大きな夢を持って目指して欲しいと思います。
会津大学 学長
角山 茂章