2016年7月29日(金)、福島県立博物館において平成28年度前期授業「ソフトウェアスタジオ」の成果発表会が行われました。

 「ソフトウェアスタジオ」は、顧客の求めるソフトウェアの開発を通して、受講者がソフトウェア工学に対する理解を深めることを目的とした講義です。
 授業では、顧客から実際に注文を受け、それぞれの注文を一つの学生チームが受け持ちます。各チームは、顧客の要望を聞き取る ヒアリングから始め、ソフトウェアの開発要件を決定するところから始めます。その後、設計、開発、テストの各開発工程を実施し、授業内で開発作業の概要及び成果物の発表を行い、顧客に納品します。各チームには産業界から派遣されるコーチが付き、開発実務のアドバイスを行います。
 毎週、教員・コーチに進捗を報告するとともに、必要に応じて顧客と打合せを持ちます。開発の各工程はドキュメント等の成果物で管理し、各工程を終了する度に提出します。顧客も参加する中間発表と最終発表では、受講生が成果物の品質および作業効率について分析と考察を行い報告します。このプロジェクトは2009年から実施されており、依頼があった企業や団体において、学生の成果物が利用されています。

 今年度前期は、福島県立博物館(※1)のご協力のもとで、博物館での課題を基にしたWebアプリケーションを作成しました。

 今回発表された成果の概要は、以下のとおりです。

「古地図活用アプリケーション-歩いて学ぶ江戸時代の会津鶴ヶ城-」(チームA:べっこ隊)
 博物館が所蔵する古地図を、携帯端末で閲覧しなら町歩きを楽しむためのシステムです。今回は、江戸時代初期の1644(正保元)年に作成された「陸奥之内会津城絵図」(福島県指定重要文化財※2)をデータ化しました。
 ユーザは昔と今を比較できるスポット機能、クイズ、ゲーム機能を利用することで、古地図を楽しみながらより深く理解することができます。このアプリでは、城内の特定の場所を訪れると、城に関するクイズが出題されます。ユーザはクイズに正答して得たポイントを用いて、アイテムガチャ(※3)を引くことができます。ガチャを引くと、福島県立博物館収蔵品をモチーフとしたアイテム(※4)を収集できます。このアイテムには希少度が設定されており、珍しいアイテムを集める楽しみがあります。

「第一印象共有アプリケーション」(チームB:AizuHF)
 博物館の展示物を見た時の第一印象を手持ちの携帯端末から入力して共有することができるシステムです。展示物を携帯端末で撮影し、印象を記録する「印象入力機能」、記録された他のユーザの第一印象を展示物ごとに参照する「印象一覧機能」等を通じて、展示物を「観る」ことの手助けと楽しみを広げます。蓄積された印象情報を展示計画に活用することもできます。

 今回の最終報告会では、各チームが開発の際に工夫した点、苦労した点、学んだ点を振り返り、プロジェクト全体を考察した内容を発表しました。学生たちは、限られた時間の中でソフトウェア作成を実践したことにより、各工程の重要性や、スケジュール管理について学べたと振り返りました。その後のデモンストレーションでは、実際に鶴ヶ城周辺と博物館で、作成したソフトウェアを動かすデモンストレーションが行われました。

 「古地図活用アプリケーション」を体験した参加者たちからは、「現在の城の様子と、昔の違いがわかっておもしろい」、「ガチャ機能がいい。何度も引きたくなる」、「実際に歩きながら遊び学べる点は、今話題のゲームアプリとも共通する斬新さがある」といった感想がありました。参加者はアプリを楽しみ、その発想の面白さを堪能した様子でした。

 「第一印象共有アプリケーション」は、博物館展示室でのデモンストレーションでした。参加者たちは展示物を撮影し、感想を書き込みました。参加者からは「英語にも対応しているのがよい」、「他の人が展示物を見て、自分では思いつかないようなことを感じているのがわかって面白い」等の感想がありました。

 「ソフトウェアスタジオ」は、今後も顧客のリクエストを受けたソフトウェア開発を続けていきます。

ss_201601.jpg ss_201602.jpg
プレゼンテーションの様子

ss_201603.jpg ss_201604.jpg
デモンストレーションの様子:鶴ヶ城三の丸周辺を歩いて「古地図アプリケーション」を体験中(左)、展示室で「第一印象共有アプリケーション」の説明を受ける参加者たち(右)

ss_201605.jpg

※1 福島県立博物館:会津のシンボルである鶴ヶ城そばにある博物館。福島県の古代から現代に至るまでの歴史、民俗資料、自然資料を保管、陳列展示しています
※2 陸奥国会津城絵図:福島県指定重要文化財。福島県立博物館資料100選
※3 ガチャ:カプセルトイ販売機のように、ゲーム内のコインを使用することで、ランダムのアイテムを得る要素。ソーシャルゲーム等でよく使用されるシステム
※4 収蔵品をモチーフとしたアイテム:このアプリでは福島県立博物館の収蔵品をモチーフとした、その写真と解説文が書かれたアイテムを得ることができます。アイテムごとに希少度があり、レア度が高いほどガチャから出る確率が低く設定されています

このページの内容に関するお問い合わせは「企画連携課 計画広報係」までお願いいたします。

お問い合わせ先メールアドレス
cl-planpr@u-aizu.ac.jp

関連記事